Novel
あなたに囚われて - 01
「名前、ちょっと一緒に来てくれるかい」
「……はい、わかりました」
船の上司である、一番隊のマルコ隊長。
彼に呼ばれて立ち上がり、連れてこられたのはいつもの地下倉庫。
私たち以外ほとんど誰も訪れない地下三階にあるそこは、もう何度も通い慣れた場所だった。
薄暗い倉庫の中、頭上高く積まれた荷物の物陰でマルコ隊長が背後の壁にトン、と凭れかかる。
────それが、合図。
静かにその様子を眺めていた私は無言のまま彼の前に跪き、馴れた手つきでベルトを外す。
ズボンの中からまだ柔らかなモノを取り出すと、私は躊躇うことなく口付けて、舌全体を絡めながら先端を含んでいく。
「上手くなったねい、名前」
「……ん、はぁ……、っん、むぅ……っ」
マルコ隊長のモノは経験人数の少ない私でもわかるほど大きくて、半分も含むと口内は隙間なく彼に埋め尽くされてしまう。
「最初の頃は、泣いて嫌がってたのにねい」
「……ん、ふ……ぅ……っ」
「今じゃこんなに美味そうに咥えてる。まったく、あの頃からじゃ考えられない姿だよい」
涎を垂らしながら口いっぱい頬張る私に、マルコ隊長が意地悪な揶揄を飛ばす。
船に乗った当初はこんな酷いことをされるとは夢にも思っておらず、押さえつけられて無理やり行為に及ばれたときは泣いて喚いて抵抗した。
だけど、そんなことはとっくにやめた。
無駄だとわかったから。
なんの力も無い私が、一番隊隊長の彼に敵う訳なくて。
逃げれば逃げるほど、抵抗すればするほど、彼は機嫌を損ね、私を酷く扱った。
そのことを嫌ってほど身体に教え込まれた私は抵抗を止め、おとなしく彼に従ったのだ。
「なァ、名前、おれのはそんなに美味いかい?」
「…んぅ、はい……とっても、美味しい、で、す」
「へェ、そうかい。ならもっと味わわせてあげなきゃねい」
優しく囁くと、私の頬をひと撫でして、マルコ隊長はゆらりと腰を突き出す。
「んぅっ……っ!」
グッ、と一瞬喉奥を突かれ、苦しげな声をあげてしまう。思わず出てしまったその声に、マルコ隊長の喉がククッと鳴る。恐る恐る見上げれば、嗜虐的な笑みを浮かべた青い瞳と目が合って。
彼は、ニヤリと笑みを深めると、私の後頭部を掴んで、屹立を一気に喉の奥へ捩じ込んだ。
「……んんっ、んぅ──っ!!」
見開いた瞳から、ボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちる。
「……あぁ、いいねい、その顔……たまんねェよい」
恍惚とした表情で、うっとりとマルコ隊長が呟く。
彼は自身の先端をぐりぐり擦り付けて喉奥の締まりを愉しむと、一旦ずるりと引き出し、筋の浮いた陰茎で私の頬や唇をなぶる。
それを何度か繰り返して唾液や体液で私の顔をぐちゃぐちゃに汚すと、また口に含ませて喉の奥に突き刺すのだった。
「……んぐ、ぅぐぅっ…」
苦しさに喘ぐと、余計愉しそうに腰を打ち付けてくる。彼はまるで私の唇を性器に見立てているかのように、じゅぼじゅぼと激しく蹂躙した。
酸欠で窒息しそうな私は、無意識に頭を振って逃れようとする。けれど、抗いなど無意味だった。快楽に溺れる彼は狂ったように腰を振り、ひたすら喉を犯す。
えずくことも咳き込むことも出来ずに、私は喉を穿つ熱い杭をただただ涙を流して受け止めた。
そうして一瞬とも永遠とも感じられる時のなか、彼が小さく呻いて。
「はっ……名前っ、出すよい…! 全部飲め…っ!」
「んぅ…んんっ…!」
我に返った瞬間、彼のモノが大きく弾けた。
「んっ……っ、んぐ……」
ビュク、ビュク、と叩き付ける熱が酷使した喉を焼く。
咄嗟に頭を引くが、がっちり掴んだ彼の手がそれを許さない。すぐに引き戻され、口いっぱいに広がるドロっとした苦い液をコクリと飲む。粘り気を帯びたそれは一度では飲みきれず、何度も何度も咽せそうになりながら全て嚥下した。
「いい子だよい、名前」
満足そうに目を細めるマルコ隊長が、涙と涎でグチャグチャな私の頬にキスをくれる。そして、だらりと垂れ下がった私の腕を引いて立ち上がらせると、
「頑張ったご褒美をやらなきゃねい」
ニヤッ、と笑った。
